バンコク初日 ドンムアン

*2017年4月頃の話です

ドンムアン空港に着いてすぐトイレへ向かった。窓側に座っていた者の宿命として気軽にトイレに行けなかったからである。また長時間座っていたからなのかこれから最初の試練である入国審査があるせいかわからないが体が妙に強張っている。

トイレを出て人の流れに従い進んでいくと入国審査場に着いた。ブースの前に列がすでに出来ていたが入国カードはLCCだからなのか機内で配られなかった。辺りを探してみるが記帳台はあるものの何故か入国カードはない。近くにいた係員に聞いても何故か持っておらずそのまま並べというので半ばヤケになりそのまま並んだ。ついに自分の番が来てカードの提出を求められ持っていないことを告げるとなんと審査官自ら手渡してきた。そして列の脇にそれてその場で書く羽目になる。入国カードの手に入れ方は色々あるのだろうが私の場合1番後手に回ったらしい。

念願の入国カードを手に入れた訳だがまだ問題は終わっていない。カードの記載事項はもちろん英語とタイ語である。英語は読めるには読めるがいかんせん自信はなかったのでいい加減に書いてしまった。特によくわからなかったのが最後のアドレスという項目だ。単純に住所のことかと手前勝手に決めつけタイに家なんて持ってねえよと空欄にしておいた。

お得意の出たとこ勝負でもう一度審査官に挑むとやはりさっきのアドレスについて聞かれた。逆に尋ね返すと何のことはなく単にホテルの名前を書けばよかったらしい。宿も予約せず来ていたらどうなっていたのだろうと思いつつ、得意満面でホテル名を告げると怪訝な顔をされた。残念ながら私が予約したところは相当な安宿だったので名前も通ってないらしい。どうしたもんかと困っていたが隣にいた若い係員は知っていたらしく、ほらあのホテルだよというような会話でもしたのかようやく通ることができた。入国の時点でこんなにも手間取ってしまい自分の準備不足を深く感じると同時に先も思いやられる。

しかし入国審査の後は案外早いもので荷物を受けとったあと何故かみんな並んでいる税関の荷物チェックのようなものも素通りで行けてしまった。しかもこれは私が意図したものではなく並ぼうとするとなぜかはわからないが係員に通ってもいいと言われたからできたのだ。

ようやく外へ出ると絡みつくような熱気に包まれた。浴槽の脇にでも立っているのかというほどの湿度と外国特有の何か食物の腐ったような匂いにむせ返りそうになる。日本の4月はまだ肌寒いが東南アジアではこの3月から5月が一番暑いらしいというのを事前に調べた情報で知っていた。もちろん飛行機と空港は空調で涼しいからこうして空港の外へ出て暑さや匂いを感じるとようやく本当にタイについたのだという感触を得られた。

着いた時間が時間なのでもう辺りは暗く空港も町外れの少し活気のない場所なのでなかなか心細く、ビクビクしながら歩いていた。宿は予約する際に歩いていける場所を意識していた。飛行機移動だけでも疲れてこの日は何もする気が起きないと思ったからだ。しばらく歩いて大通りから小さい道に入るのだが道はとても暗く郊外とはいえ首都にこんなところあるのかと驚いた。もちろんこの後行く国にはもっと発展途上な首都があり、バンコクは大都会であることを思い知るが。

目的の宿に着き受付に予約したことを伝えてパスポートを見せるがそんな予約はないと言われてしまう。どうやら同じ名前だがドミトリー形式の施設は場所が別らしい。近くなのだが来た道を戻る形となり先に進むよりも余計に億劫に感じる。初めて訪れた国でこんな野良犬がうろつき、周りは民家しかないような暗い路地を一人歩くのはかなり怖いものだった。しかもあからさまに旅行者然とした大げさな荷物を背負って目立つ格好だ。自分で行こうと決めてきたくせに妙に悪い方へと考えが狭まっていくのを感じる。アホらしいかもしれないがもうここで強盗か何かに襲われて死んでしまうんではないかというほどまで極端な考えになっていた。この時は本当に慣れていなかったのだと今思い返して改めて実感する。

果たして再び目的の場所へと着くと今回はさすがにすんなりと受付も進んだ。宿泊者も少ないようで好きにベッドを選んでいいとのことだった。一気に安堵を感じるとさっきまでの不安感も嘘のように消え失せた。さっきまであの暑さと不安の中を重いザックを背負い30分以上も歩いたからか精神的にも肉体的にも疲れきっていたらしい。私は服も着替えずベッドに腹ばいになり入浴することも忘れそのまま眠ってしまった。

翌日撮った空港横の大きな幹線道路。最初はこれを渡るのすら難儀した。空港内からアクセスできる陸橋から渡ることができる。

宿の浴室はこんな感じだった。東南アジアの安宿はこの後どこもこのような形式だった。住んでいる家が3点ユニットバスだから同じ空間にトイレとシャワーがあるのには慣れているが床まで一緒というのは最初抵抗があった。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です